二十五 大風のごとし 「物種 吉兵衛」
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子供が木の枝をもって この間 大風が吹いて
コナイ コナイ センド ゆられて
ポキンと折れました というと
もう一ぺん いっておくれ と自分も合わせ
コナイ コナイゆられて ポキンと折れましたか
と 何べんもよろこんだ
(物種 吉兵衛)
大風
物種吉兵衛は堺の人。明治十三年、七十八才で亡くなった。イリコ行商人です。吉兵衛のよろこんだのは、大風の為に枝が折れたということでした。
かぜは世界中にいっぱいあります。仏さまも、せかいいっぱいです。風がはげしく吹きますと、風にきがつきます。風は仏さまに似ております。コノ如来ハ 十方微塵世界ニ ミチミチテマシマス とは、親鸞聖人のおことばです。
大けな風が吹きまして あみだの風がふきまして
わたしにあたった なむあみだぶつ
これは浅原才市のうたです。吉兵衛にも、大風が吹いたらしいが、才市にも大風が吹いたらしい。御開山は、疾風の如し、大風の如しとおっしゃる。また
濁世の 起悪造罪は 暴風駛雨に ことならず
ともあります。
善巧(ぜんぎょう)
大風とは、あらしである。信仰の道には、度々あらしが吹きます。折角のこれまでが、ゆられます。せんど、ゆられます。ボキリと折れて、吹きとびます。もろもろの自力の心、煩悩の心が吹きとばされます。それがいい。私に当る大風である。弥陀仏の仕組んだ善巧方便です。大風は一過します。
(昭和三十七年十月)