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二十一 いのちの葉 「浅原 才市」

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法悦百景 深川倫雄和上

二十一 いのちの葉 「浅原 才市」
二十二 恋ごころ 「良寛上人」
二十三 世は夢 命は露 「良寛上人」
二十四 無邪気 「良寛上人」
二十五 大風のごとし 「物種 吉兵衛」
二十六 他力 「物種 吉兵衛」
二十七 許す母 「与謝野 礼巌」
二十八 修正会 「九条 武子」
二十九 親さま 「足利 源左」
三十 常不軽菩薩 「宮澤 賢治」
三十一 見聞知 「深川 倫雄」
三十二 仕えてぞ「行基 菩薩」
三十三 ひとの涙 「九条 武子」
三十四 くるしみの壺 「九条 武子」
三十五 この善太郎 「善太郎」
三十六 提婆尊者 「梁塵秘抄」
三十七 職業すなわち仏道 「兼好 法師」
三十八 寂しさの秋 「三木 清」
三十九 寂しき悔 「九条 武子」
四十 報恩講 「狐雲」
ウィキポータル 法悦百景

どがなら さいちや よろこばれるか
へ よろこびわ
わしのからだに こころのごとく
わしのこころに じひがみちみち
なむあみだぶつの ごさいそく
            (浅原 才市)

お朝事

 も早、6月でございます。今日も陽の光が、よりあかあかとした仏の光の中で、過ごさせていただきます。如来さま、お早うございます。御開山さま、お早うございます。

蓮如さま、お早うございます。今朝はようこそお参り下さいました。佐賀の甲斐さん、宮原さん、西市の福田さん、広島の川本さん、その外十人程でしょうか。

よかったですね。いい如来さまに値(あ)いました。いいお祖師さまに値(あ)いました。蚕が桑の葉をたべるように、たった一枚もらった人間のいのち。広さは七十年か八十年か。今日も味わってたべましょう。

このいのちの葉は、舌によっては地獄の味。舌によっては仏の味。舌によっては娑婆の味です。今や私の舌は、名号を称える舌になりました。今やこの命の葉は、仏の味がします。心はどこにあるのでしょう。

胸にあるのは心臓で、心ではない。頭にあるか。足先ふんでも痛い。足先にも心はゆきわたっています。心がからだにゆきわたるようにです。心に慈悲がゆきわたりました。

粗末な心にも、いい気持ちの心にも、なむあみだぶつが、満ち満ち染みつきました。申し上げようもない心のまま、染まって了(しま)いました。称え称えのご催促。へ、称えます。

(昭和三十七年六月)