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有頂天 (うちょうてん)

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法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

 志望校に合格できて大喜び。仕事の功績が認められ昇進も果たし鼻高々。結婚式、この日ばかりは二人は大スター、幸せの絶頂。わが子ほど可愛い子どもはどこにもいないと溺愛状態。宝くじにヤッタヤッタの大当たり。だいたい、こういう状態を一般的には「有頂天」といいますね。

 人生における最高の喜びでしょう。しかし、この人間においての最高の喜びを表す「有頂天」は、仏教においては最高の迷いを表す言葉なのです。確かに「有頂天」とは、色究竟天(しきくきょうてん・色界の第四天)とか、非想非非想天(ひそうひひそうてん・無色界の第四天)とかいわれて、精神世界の最も高い位を表す境地です。この境地がなぜ仏教では迷いだといわれるのでしょうか。

 それはこの「有頂天」こそが、万人共生の大地(いのちのつながり)から離れて、自分ひとりだけ高きに昇ることを善しとする生き方だからです。つまり、すべてのかかわりを閉ざすことによって、大安心を得る世界であるから、それは迷いだと仏教ではいうのです。

 その意味では、さまざまな現実問題に関わることもしないで、有頂天の世界に大安心して、見ない、聞かない、言わない、と傍観者を決め込む生き方が問われます。

尾畑文正 おばた ぶんしょう・同朋大学教授 月刊『同朋』2002年11月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。