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大丈夫 (だいじょうぶ)

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法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

<世間の会話>
 Aさん「小さい時はひ弱だったのに、ずいぶん丈夫な身体になったね。それにこんなにしっかりした丈夫な家も建てて。あ、ところでCさんとの関係は大丈夫なのか?」

Bさん「ああ、ダイジョウブ大丈夫だよ」

<仏教語訳>
 Aさん「小さい時は体も弱かったけれど、『仏になる志が強い人は、どのような困難をもモノともせずに立ち向かっていける』ことにたとえられるような、しっかりとした身体になったね。それにこんなに立派な『どのようなものにも揺るがない強い志』を形に現わしたような家も建てて。あ、ところでCさんとの関係は『いつ、どこにあっても忘れないはっきりとした成仏道への志』のように、大切にしているんだろうね」

Bさん「ああ、志は、はっきりしているよ。ふたりの関係を深めて、どのような困難をも受けとめていける浄土に開かれた家庭を作っていくよ」

 『大無量寿経』に、完全にさとりを得た人(仏)の別号として『調御丈夫(じょうごじょうぶ)』があります。「優れた御者(ぎょしゃ)が見事に荒馬を調教するように、仏に成っていく志が人間を調教し制御する」という意味です。A、Bさんは無意識の内に仏教の伝統の中にいて、すごい会話?をしていたのです。

 ただ、「丈夫」は男性という意味がもとです。個人の資質、能力や性差、社会性に成仏道の根拠を置く自力の教えは、「志堅固(けんご)」を「男性」で喩(たと)え、女性を貶(おとし)めてしまいましたが、「丈夫」の世俗化は「しっかりしている」意味だけを伝えています。今、仏教語として捉え直す時に忘れてはならない事柄です。


埴山和成 はにやま かずなり・大谷専修学院指導補 月刊『同朋』2001年9月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。