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三昧 (さんまい)

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法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

 世間では「釣り三昧(ざんまい)」「読書三昧」「ゴルフ三昧」等々、何かに夢中になっている状態を「〇〇三昧」といいます。三昧とは、もともと仏教語で「何ものかに心を集中することによって、心が安定した状態に入ること」という意味だそうです。このようにいわれると、なんだか自分とはかけ離れたことのように感じます。しかし、もっと身近なことのようにも思えます。

 「物忘れ」は老化現象ではなく「三昧」のなせるワザではないかと最近気づいたのです。冷蔵庫までやって来て、扉を開けて、「ええと? 何を取りにきたんだっけ?!」となる。これは普通「老化現象」で、歳のせいにされてしまいます。しかし、そうとばかりはいえないと思います。私たちの頭はいつも留まることなく動いています。身は一カ所に留まっていても、思いは留まっていません。

ですから、冷蔵庫にビールを取りにいこうと思って、歩いている間に、頭は勝手につぎの思いに展開しているのです。ですから、実際に身が冷蔵庫に到着したときには、思いはそこにないわけです。それは「老化現象」でなく思いが深く「三昧」の状態にあるからこそ、身と時間差が生まれてしまうと解釈したらどうでしょうか。頭は身と異なり同時に二つのことをやるのです。見ながら考える、食べながら考える、話しながら考える。そういう意味では、頭はいつも「思考三昧」に入っているといえそうです。思考は思考自身のシステムによって動いています。自分の自由になるものではありません。


武田定光 たけだ じょうこう・真宗大谷派因速寺住職 月刊『同朋』2002年7月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。