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暗証 (あんしょう)

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法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

 キャッシュカードやクレジットカード、買い物によってポイント(点数)を貯めるカードなど、数えると何十枚にもなるカードが、財布やバッグの中をにぎわせている方も少なくないでしょう。またカードの種類によっては、本人であることを証明するための暗証番号(四桁の数字)が必要なものもあり、これがなかなか厄介です。なぜならその番号を忘れてしまうと本人ですらそのカードが使えなくなったり、他人に読まれて不正に使われることにもなるからです。

 ところで、仏教語の中に「暗証の禅師」という言葉があります。「暗証」の<暗>とは<くらい>、<証>とは <さとり>、すなわち「坐禅ばかりしていてさとりにくらい(教えの理解に乏しい)禅僧」のことをそう呼ぶのです。ですから、現在私たちが、暗証番号という言葉でイメージするような、「自分であることを暗に証明する」という意味での暗証とは、かなり違いがあります。

 ただ、仏教語としての「暗証」は、必ずしも禅僧に限ったことではないように私には思えます。というのは、ちょっと聞きかじっただけで教えを理解したと思い込んだり、自分一人の狭い殻に閉じこもってしまうような心は、私たち一人ひとりの中にもあるからです。そして、そのような自分の中の暗い心を教えによって照らしてくれるのが仏法です。

 実は私も、忘れっぽい性格のせいか、自分の暗証番号をうっかり忘れてしまい、あわてたことがあります。それはひょっとすると、教えの理解に乏しい「暗証」な自分を忘れてしまっていたせいだったことが原因…? というのは、考えすぎですよね。

にれい・しゅうじ 登別大谷高等学校教諭(宗教) 月刊『同朋』2003年12月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。