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「大衆 (たいしゅう)」の版間の差分

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 近所に「大衆酒場」という暖簾(のれん)の飲み屋さんがあります。以前は流通していた「大衆浴場」「大衆芸能」「大衆文学」など、今ではあまり目にしなくなりました。この言葉はもともと仏教語だったようです。
 
 近所に「大衆酒場」という暖簾(のれん)の飲み屋さんがあります。以前は流通していた「大衆浴場」「大衆芸能」「大衆文学」など、今ではあまり目にしなくなりました。この言葉はもともと仏教語だったようです。

2007年9月6日 (木) 15:11時点における最新版

法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

 近所に「大衆酒場」という暖簾(のれん)の飲み屋さんがあります。以前は流通していた「大衆浴場」「大衆芸能」「大衆文学」など、今ではあまり目にしなくなりました。この言葉はもともと仏教語だったようです。

 三帰依文(さんきえもん)には「僧に帰依したてまつる。まさに願わくは衆生とともに、大衆を統理して、一切無碍(むげ)ならん」と記されています。まあ正確には「だいしゅう」と発音するのでしょう。仏教用語での「大衆」は仏法によって調和のとれた人々の集まりという意味です。

 ある先生が「私は一切衆生(いっさいしゅじょう)の中のひとりだが、同時に、一切衆生を代表するひとりでもある」と言われていました。大衆の中の一人だということになると、「その他おおぜいの中のひとり」という意味になり、なんだか元気が出てきません。「自分なんかいなくても世の中にはまったく関係ないぜ!」という感情がわいてきます。

 しかし、大衆を代表するひとりだということになると、ちょっと違います。ご飯を食べるのも大衆を代表して食べているのかもしれない。腹を立てるのも、大衆を代表して腹を立てているのかもしれない。自分は大衆を代表して生きているのかもしれません。こうなってくると、生きることに前向きになってきます。このちっぽけな自分に、まったく愚かしい自分に衆生を代表する意味が与えられる。代表する資格なきものに、代表する意味が与えられる。この醍醐味(だいごみ)が「大衆」という言葉の響きにはあるように思います。


武田定光 たけだ じょうこう・真宗大谷派因速寺住職 月刊『同朋』2001年10月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。