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六十四 御報謝 「句仏上人」

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法悦百景 深川倫雄和上

六十一 愛語 「道元禅師」
六十二 聞き場 「浅原 才市」
六十三 煩悩の過去 「九条 武子」
六十四 御報謝 「句仏上人」
六十五 無常の愛 「外村 繁」
六十六 甘受の法悦 「浅原 才市」
六十七 タノム 「宇右エ門」
六十八 汝を捨てず 「九条 武子」
六十九 おらあ とろいだで 「足利 源左」
七十 非常識 「臼杵 祖山」
七十一 罪の沙汰無益 「法然上人」
七十二 他力の信心 「憶念寺 良雄」
七十三 割れた尺八 「報専坊 慧雲」
七十四 うその皮 「浅原 才市」
七十五 心の豊満 「九条 武子」
七十六 中ぐらい 「小林 一茶」
七十七 亡き子は知識 「高楠 順次郎」
七十八 愚痴の妙薬 「浅原 才市」
七十九 恕しこそ救い 「聖徳太子」
八十 鑑真和上 「松尾 芭蕉」
ウィキポータル 法悦百景

磬一下 今年報恩の 第一聲
           (句仏上人)

 新年おめでとうございます。句仏上人は、東本願寺の前の御法主さまであられました。昭和十七年二月六日、御遷化になりました。お歳六十九才。俳句その他の道に秀でたるよきお方でございました。殊にその句は、単なる風流でなく、深い法味を潜めるものでございます。磬(けい)とは、内陣の中央礼盤に座して、導師が打ちならすものです。お経のはじめにならして、それから声を出します。

元旦、句仏上人の東本願寺は、広々とした内陣。寒さの中に、御開山さまは座っていらっしゃいます。元旦の内陣に、短く鋭くひびくはじめの物音は、磬である。その磬を打つ棒を打ち下ろすのは、句仏上人である。一年が御報恩の一年で、それ以外の何ものでもない。それがこの一下(いちげ)ではじまる。句仏上人御自身は、この一下からはじめて、御報恩に油断してはならぬぞと、思われるのでございましょう。

 磬を打つのも御報謝である。一つ何かをあげて、御報謝というのではない。元旦から晦日まで、報謝ならざるはない。油断してはならない。しかし怠けものは、退屈する日がある。凡夫の悲しさであります。

懈慢界に 生まれて永き 日なりけり
            (句仏上人)

勿体なや 祖師は紙子の 九十年


(昭和四十一年一月)