操作

「六十七 タノム 「宇右エ門」」の版間の差分

提供: Book

(新しいページ: '{{houetu04}} うえもんさん 弥陀をたのむ味わいを 聞かして下さいナ<br /> ヘイ 弥陀を たのまにや なりませんかいの<br /> たの...')
 
(1版 をインポートしました)
 
(相違点なし)

2016年10月4日 (火) 17:36時点における最新版

Dharma wheel

法悦百景 深川倫雄和上

六十一 愛語 「道元禅師」
六十二 聞き場 「浅原 才市」
六十三 煩悩の過去 「九条 武子」
六十四 御報謝 「句仏上人」
六十五 無常の愛 「外村 繁」
六十六 甘受の法悦 「浅原 才市」
六十七 タノム 「宇右エ門」
六十八 汝を捨てず 「九条 武子」
六十九 おらあ とろいだで 「足利 源左」
七十 非常識 「臼杵 祖山」
七十一 罪の沙汰無益 「法然上人」
七十二 他力の信心 「憶念寺 良雄」
七十三 割れた尺八 「報専坊 慧雲」
七十四 うその皮 「浅原 才市」
七十五 心の豊満 「九条 武子」
七十六 中ぐらい 「小林 一茶」
七十七 亡き子は知識 「高楠 順次郎」
七十八 愚痴の妙薬 「浅原 才市」
七十九 恕しこそ救い 「聖徳太子」
八十 鑑真和上 「松尾 芭蕉」
ウィキポータル 法悦百景

うえもんさん 弥陀をたのむ味わいを 聞かして下さいナ
ヘイ 弥陀を たのまにや なりませんかいの
たのまにやならぬ様なら
如来さまが よき様に して下さいましょうぞいな
          (播州大田 宇右エ門)

タノム

 宇右エ門は、天保三年九月三日、兵庫県大田で往生した。七十五才。今から百三十年前である。古来たくさんの人々が、真宗の信心に工夫をしました。本人にとっては、大苦悩をして工夫した。一転してみれば、何のことはないのに信ぜられん、

スーッとせぬ、と考えあぐねる。タノムところがわからん、という。何かわかることであると思っている。心理学のように思っている。どこがまちがっているのであろうか。この私などと、胸に手をやっているが、実はこの私とおや様との間に空気がある考え方をしている。おや様の前の私を、はたから見ている考え方から抜けていない。タノム私は、字にも絵にも言葉にも手まねにもあらわせない。私は私である。

タノマセル

 私は私を見ることできぬ。私を見、案じ、救い給うおや様を見るばかりである。宇右エ門は亀山御坊に参る。

宇右エ門さん 一口 御縁を下さいナ
この者をでございますそうナ

 この者が、タノムでない。この者を、タノマせて救い給うのである。

(昭和四十一年四月)