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四十八 オコタルベカラズ 「浄泉寺 覆善」

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法悦百景 深川倫雄和上

四十一 舞台 「池山 栄吉」
四十二 信心の智慧 「善太郎」
四十三 無我・極楽への道 「中 勘助」
四十四 独楽 「明顕寺住職」
四十五 聖人の妻 「恵信尼公」
四十六 名号成就 「一遍上人」」
四十七 自力無効 「小川 チエ」
四十八 オコタルベカラズ 「浄泉寺 覆善」
四十九 夢の王 「後白河上皇」
五十 法の妻 「二条 弘子」
五十一 流星の光ぼう 「与謝野 晶子」
五十二 ご命日 「後生口説き」
五十三 苦境にうつ鞭 「九条 武子」
五十四 帰る旅 「小泉 義照」
五十五 老いらく 「佐藤 春夫」
五十六 しのびの殿御 「お軽」
五十七 上皇遠流 「後鳥羽上皇」
五十八 赤い牛 「宏山寺 僧僕」
五十九 大盤石 「九条 武子」
六十 先立ちし子 「有田 甚三郎」
ウィキポータル 法悦百景

朝夕ノ勤行 オコタルベカラズ
旅行ノトキモ 必ズ 朝ツトメシテ 後 発足スベシ
帰ラバ 必ズ 夕ヅトメシテ 後ニ臥スベシ
          (芳淑院 覆善和上)

師命

 お内仏に、どんなわけでおまいりしますか、ときかれたら何とこたえます。御恩報謝のため、それは御立派ですね。私はむしろ、おつとめと存じています。古来、僧侶としてそう命ぜられているからです。覆善和上は、岩見の方でした。この文章は、和上の家儀、すなわち家訓でありました。和上も、僧侶としての身のもち方を、先輩や師匠に聞いたのでしょう。師とは、いいお方である。たとい自分は、納得ゆかなくても、善知識のおことばに従うのが、信仰の態度である。

 お内仏に、朝夕お参りするのは、なぜですか、と聞かれたら、何とこたえます。御院家さまが、朝夕、お参りなさいとおしゃるので参ります。ありがたいことです。仲々こんなこたえはないものである。

挨拶

 御院家さまのおさしづで、お参りはしますが、その心持は、と問わるればどう申しましょう。私は、ごあいさつをしているつもりです。

阿弥陀仏と 十声となえて まどろまん
永き ねむりと なりもこそすれ

という、法然上人のお歌を、覆善和上はかいておいでます。夕方は、おやすみなさいませである。

(昭和三十九年九月)