四十八 オコタルベカラズ 「浄泉寺 覆善」
提供: Book
朝夕ノ勤行 オコタルベカラズ
旅行ノトキモ 必ズ 朝ツトメシテ 後 発足スベシ
帰ラバ 必ズ 夕ヅトメシテ 後ニ臥スベシ
(芳淑院 覆善和上)
師命
お内仏に、どんなわけでおまいりしますか、ときかれたら何とこたえます。御恩報謝のため、それは御立派ですね。私はむしろ、おつとめと存じています。古来、僧侶としてそう命ぜられているからです。覆善和上は、岩見の方でした。この文章は、和上の家儀、すなわち家訓でありました。和上も、僧侶としての身のもち方を、先輩や師匠に聞いたのでしょう。師とは、いいお方である。たとい自分は、納得ゆかなくても、善知識のおことばに従うのが、信仰の態度である。
お内仏に、朝夕お参りするのは、なぜですか、と聞かれたら、何とこたえます。御院家さまが、朝夕、お参りなさいとおしゃるので参ります。ありがたいことです。仲々こんなこたえはないものである。
挨拶
御院家さまのおさしづで、お参りはしますが、その心持は、と問わるればどう申しましょう。私は、ごあいさつをしているつもりです。
阿弥陀仏と 十声となえて まどろまん
永き ねむりと なりもこそすれ
という、法然上人のお歌を、覆善和上はかいておいでます。夕方は、おやすみなさいませである。
(昭和三十九年九月)