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四十七 自力無効 「小川 チエ」

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法悦百景 深川倫雄和上

四十一 舞台 「池山 栄吉」
四十二 信心の智慧 「善太郎」
四十三 無我・極楽への道 「中 勘助」
四十四 独楽 「明顕寺住職」
四十五 聖人の妻 「恵信尼公」
四十六 名号成就 「一遍上人」」
四十七 自力無効 「小川 チエ」
四十八 オコタルベカラズ 「浄泉寺 覆善」
四十九 夢の王 「後白河上皇」
五十 法の妻 「二条 弘子」
五十一 流星の光ぼう 「与謝野 晶子」
五十二 ご命日 「後生口説き」
五十三 苦境にうつ鞭 「九条 武子」
五十四 帰る旅 「小泉 義照」
五十五 老いらく 「佐藤 春夫」
五十六 しのびの殿御 「お軽」
五十七 上皇遠流 「後鳥羽上皇」
五十八 赤い牛 「宏山寺 僧僕」
五十九 大盤石 「九条 武子」
六十 先立ちし子 「有田 甚三郎」
ウィキポータル 法悦百景

いきすぎ者が まよいでて いらぬやきもち やきました
やいたか やかんか 何十年 なべもめげたし 粉もみてた
注文なしだで みなそんだ そんと もうけを 一ときに
しらせてもろうた ありがたさ
何とも 何とも このごおん
              (小川 チエ)


計い

 小川チエさんは、島根県江津市(ごうつし)・小川仲蔵同行の妻である。昭和十一年九十二才で亡くなりました。その子が、この会報に何度か名の出ました市九郎さん(八十五才)です。市九郎さんが話をしてくれます。母がナァ、仲蔵さんは喜び手であんなさったが、おばあさんは、どがいうて喜んでいたかと、問う人があったら、こういうてくれと申しましてナ。それがこのうたであります。

 御当流は聞く一つである。そのままのお救いである。他力である。名号のひとりばたらきである。信心は、たまわりものである。と、いうことを何度もききます。しかし、それはいつもよくわかった人から話されまして、なかなかよくは、心がわかりません。だから、なかなか才市さんや、善太郎さんのようになれんといいます。こう思うのが信心じゃ、こうすることが真宗じゃと、いろいろ言っても見ます。

無功

 何年もお聴聞をしている中、ああそうか、というようなことに、なる時がある。理屈をこねたなべが、割れ、こねる粉もなくなったといっていい。永いこと、そんしたものだ。そんと知れたが大もうけ。

(昭和三十九年八月)