五十 法の妻 「二条 弘子」
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母のこと 思い出(い)ださば 法聞きて
み名 称う身と なり給えかし
(二条 弘子)
嫁ぐ
この十一月十二日十一時、東本願寺の新門さまは、結婚式をあげられます。新婦は、福井県にある真宗誠照寺派本山の二条秀淳管長の長女二条貴代子さまです。お仲人は、西本願寺のご門主さまです。嫁ぐ娘のために、お母さまは、はなむけの歌を詠まれました。二条弘子裏方が、そのお母さまです。お父さまが、世間でいう提灯に釣鐘です、と申される縁組み。お母さまは、気が気ではないに違いない。大きなご本山のお嫁さまになる娘だ。つらいことが多いに違いない。その度に、田舎の本山に住む母の気楽さを思い出すだろう。
娘よ、母はね、お念仏の本山の母なのだからね、涙して母を思うよりもご法義をお聞き。母はご法義の中に住みます。辛い時も、ご法義を聞けば、大きな大きなふところのように慰められます。どうぞ、お念仏喜ぶお裏方さまにおなりよ。
聞く
おおけなき 幸めぐまるる この身なり
ひたすらみ法 聞かまほしけれ
(二条 貴代子)
お嫁さまは、この歌を背の君に捧げました。
思いきや すくせのえにし 有難く
君に仕うる 幸うくるとは
お母さま、大善知識の妻になります。み法の妻になります。ありがとう。
(昭和三十九年十一月)