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五十 法の妻 「二条 弘子」

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法悦百景 深川倫雄和上

四十一 舞台 「池山 栄吉」
四十二 信心の智慧 「善太郎」
四十三 無我・極楽への道 「中 勘助」
四十四 独楽 「明顕寺住職」
四十五 聖人の妻 「恵信尼公」
四十六 名号成就 「一遍上人」」
四十七 自力無効 「小川 チエ」
四十八 オコタルベカラズ 「浄泉寺 覆善」
四十九 夢の王 「後白河上皇」
五十 法の妻 「二条 弘子」
五十一 流星の光ぼう 「与謝野 晶子」
五十二 ご命日 「後生口説き」
五十三 苦境にうつ鞭 「九条 武子」
五十四 帰る旅 「小泉 義照」
五十五 老いらく 「佐藤 春夫」
五十六 しのびの殿御 「お軽」
五十七 上皇遠流 「後鳥羽上皇」
五十八 赤い牛 「宏山寺 僧僕」
五十九 大盤石 「九条 武子」
六十 先立ちし子 「有田 甚三郎」
ウィキポータル 法悦百景

母のこと 思い出(い)ださば 法聞きて
み名 称う身と なり給えかし
            (二条 弘子)

嫁ぐ

 この十一月十二日十一時、東本願寺の新門さまは、結婚式をあげられます。新婦は、福井県にある真宗誠照寺派本山の二条秀淳管長の長女二条貴代子さまです。お仲人は、西本願寺のご門主さまです。嫁ぐ娘のために、お母さまは、はなむけの歌を詠まれました。二条弘子裏方が、そのお母さまです。お父さまが、世間でいう提灯に釣鐘です、と申される縁組み。お母さまは、気が気ではないに違いない。大きなご本山のお嫁さまになる娘だ。つらいことが多いに違いない。その度に、田舎の本山に住む母の気楽さを思い出すだろう。

 娘よ、母はね、お念仏の本山の母なのだからね、涙して母を思うよりもご法義をお聞き。母はご法義の中に住みます。辛い時も、ご法義を聞けば、大きな大きなふところのように慰められます。どうぞ、お念仏喜ぶお裏方さまにおなりよ。

聞く

おおけなき 幸めぐまるる この身なり
ひたすらみ法 聞かまほしけれ
          (二条 貴代子)

お嫁さまは、この歌を背の君に捧げました。

思いきや すくせのえにし 有難く
君に仕うる 幸うくるとは

お母さま、大善知識の妻になります。み法の妻になります。ありがとう。

(昭和三十九年十一月)