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人の噂をして話に花が咲きます 48

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人の噂をして話に花が咲きます。時に声を大きくし、あるいは声をひそめなどして、人物評論がはずみます。

能力・器量をあげつらい、態度・人格の品評をします。身分・家柄・財産・学歴をくらべて、かつはうらやみ、かつはいやしみます。

ここから遂には、差別にまで及びます。人の評判、人を比べていう人間の精神は、たいへん根深く巣くうていて、ご法義信心の上までむき出しになります。 昨年のカレンダーに”一番わるいで、しあわせだがやあ”という、妙好人の言葉を見ました。阿弥陀さまのお慈悲を蒙って、罪業深重の身が、大悲のみ手に引きつられてある喜びが述べられています。

しかしこれとて、人とくらべて一番悪いといい、人と比較してしあわせというのでしょう。人の非難でなく、我身を悪いというたにしろ、人さまと見較べていう精神は、賞めたものではありません。人を見較べている精神が差別の土台といえましょう。

深川倫雄和上に承りました。”信心念仏の行者は、人物評定・人の品定めしたがるわが精神を、鈍化させにぶらせていく努力をいたします。”と和上の仰せであります。

見較べるのは、”自分の過去と今とを見較べるのです”と仰言います。

罪深いまま、永い流転のまよいの私の過去と、今日ただ今、弥陀のお覚りの仏智を恵まれ、私はまさに正定聚の位の今を比べて、よかったしあわせと喜ぶ。とめどものう流転し続けた過去に引き比べ、今ナンマンダ仏の親さまが、この命に来て同居してご一緒なさってくださる、よかったあ、よかったなあと喜びます。と、お聞かせです


藤岡 道夫