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隣郡、万徳寺のご院家さん 106

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隣郡、万徳寺のご院家さんが、中国新聞の”天風録”をコピーしてくださいました。この天風録の伝える八ツ塚実氏の毎日は、寝たきりの老いた母上のおむつ替え、三度の食事、毎日の入浴、そうして夜毎添い寝の明け暮れといいます。

実は九年前、尾道市内の女子中学生が”私達の先生は「みんな生きてるんだ」が口グセで、生きている先生がアダ名です。感動屋の先生は、泣きながら生徒を叱ります。すてきな先生です”と投書に寄せて、プロフィールを紹介された生きている先生こそ、この八ツ塚実氏です。八ツ塚さんは、この三月学校を退き先生を辞めました。脳梗塞で寝たきりになった八十八歳のお母さんの介護に専念するため、これがその理由です。

三月のお別れ式で先生は、 ”もっとみんなと語りたかった。でも人間やりたいことを、あきらめなければならない時がある”と語りかけ、今がその時だとして、先生の職を辞められました。

やがてその後”オレな、先生、涙が止まらんかった”と、デンワしてきたのは、グレかけていた男子生徒だといいます。

今、弥陀大悲のいわれを聞きます。如来(おや)さまは、真心・至心を極め、清浄・真実を尽す仏智・おまことから、功徳力・仏力を集めたナンマンダ仏のお仕上げに及ばれました。

煩悩ごとに躓(つまず)き、煩悩ごとに蹲(うづく)まって、人生の始終に煩悩立ちこめます。こうして生死(しょうじ)界を離れも脱(のが)れもならずして、煩悩ごとにグレッパナシの命を満たし、ナンマンダ仏が届きました。お覚り全体の仏力をナンマンダ仏に押し傾けて到りとどいて下さいました。


藤岡 道夫