南アメリカ大陸の国 26
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南アメリカ大陸の国、エクアドルの沖千キロのガラパゴス諸島は赤道直下。イグアナ・象亀など古生代からの生物が住み世界に知られます。ここは又カツオ鳥・軍艦鳥などの海鳥が数十万羽の規模で大繁殖します。
そのシーズンは足の踏み場もないほどの、無量・無数の海鳥の巣の卵がかえり、ヒナが生まれ親鳥は海から餌の小魚を運びます。無数の巣がありヒナがいるのに、親鳥は間違えずに自分の巣、つまり我が子の所に戻ってくる。間違えることなどありません。
親鳥は遠くから目で探し乍、巣に帰るのではなくて、親鳥とヒナの間は鳴き声で通信が交わされ、その存在が告げ合われているのです。
親のフイッシュコール、つまり親の呼声を聞くと、餌が貰えるものとヒナは体全体を口にして鳴き立てます。あたり一面、親鳥ヒナ達の鳴き声が湧き立つ中から、親鳥は我が子ヒナの鳴き声を正確に聞き分け聞き取って戻ります。岩陰や或いは夕暮れどきで、眼に探せなくても我が子の声を親鳥は誤たず捕らえます。
親鳥は卵からかえったヒナの声を、一回か二回で覚えるという。いやそれより前に、親鳥に抱いて暖められ卵の殻の中で育てられる中から、ヒナは親鳥の声の特徴の幾つかを聞かされ告げ続けられて、親の声をヒナは命全体で覚えとります。だから卵からかえったその時すでに、ヒナには親の呼声を体に持って生まれてくるといわれます。
わが如来さま親さまは、声となり名告りとなって、私に既に来ておいでになるナンマンダ仏。無常の命の私を、抱えこみ煩悩具足のこの身を取りこんでかかられる親さま。
今私の命に満ちて離れず、私がこの世滞在の間中、ナンマンダ仏とご一緒の如来さま。この上は、自らに言い聞かせてお称名申すばかりです。
藤岡 道夫