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金輪際 (こんりんざい)

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法輪

えっ!仏教語だったの?

愛_(あい)
悪魔_(あくま)
ありがとう
暗証_(あんしょう)
一大事_(いちだいじ)
一蓮托生_(いちれんたくしょう)
有頂天_(うちょうてん)
縁起_(えんぎ)
往生_(おうじょう)
億劫_(おっくう)
開発_(かいほつ)
我慢_(がまん)
祇園_(ぎおん)
快楽_(けらく)
玄関_(げんかん)
金輪際_(こんりんざい)
三蔵法師_(さんぞうほうし)
三昧_(さんまい)
四苦八苦_(しくはっく)
邪見_(じゃけん)
邪魔_(じゃま)
受持_(じゅじ)
精進_(しょうじん)
世界_(せかい)
世間_(せけん)
殺生_(せっしょう)
刹那_(せつな)
善哉_(ぜんざい)
退屈_(たいくつ)
大衆_(たいしゅう)
大丈夫_(だいじょうぶ)
達者_(たっしゃ)
他力本願_(たりきほんがん)
畜生_(ちくしょう)
超_(ちょう)
道場_(どうじょう)
道楽_(どうらく)
内証_(ないしょ)
ばか
悲願_(ひがん)
不思議_(ふしぎ)
法螺を吹く_(ほらをふく)
微塵_(みじん)
迷惑_(めいわく)
利益_(りやく)
臨終_(りんじゅう)
流行_(るぎょう)
流通_(るづう)
仏教語だったの

 金輪際、悪いことはいたしません」。この「金輪際」という言葉は仏教語だったんですね。辞書によると、私たちが暮らしている大地の最下層の底のことだそうです。

 私たちが「金輪際○○○」と言うときには、もうこれより他はないという決意や決断を含んだ意味合いで用います。私にはこの「金輪際」という言葉が、親鸞聖人のいわれる「地獄は一定(いちじょう)すみかぞかし」(真宗聖典627頁『歎異抄』第2条)の「地獄」と同じような意味に聞こえてくるのです。この地獄より下はない。地獄の底に堕ちてしまえば、そこが安心の大地なのだよと聞こえてきます。

 お正月に神社でおみくじを引いたひとがいます。大凶だったそうです。彼は「いまが大凶なんだから、これからはよくなるいっぽうだ!」「おみくじの中から数少ない大凶を引き当てるのは、逆に幸運なんだよ!」と強がっていました。彼ばかりでなく、誰しも大凶がいやなんです。この大凶の正体を突き詰めてゆくと、生老病死に行き着きます。

 しかし、人間はこの世に生まれたとき「生と死」を同時に手に入れているのです。誕生は生だけでなく死も生み出してしまうのです。そういう意味で人間は、すでに「生まれる」という大凶のおみくじを引き当てているのです。それも決して吉に転ずることのない大凶です。もともと出発点が大凶なのだから、吉の夢に破れることもないのでしょう。ここに「金輪際」おみくじに頼らなくてもよい、生きる勇気があるように思います。

武田定光 たけだ じょうこう・真宗大谷派因速寺住職 月刊『同朋』2002年4月号より


 出典と掲載許可表示(東本願寺出版部発行の月刊『同朋』)から転載しました。