お念仏は如来のよび声みんなの法話のソースを表示

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お念仏は如来のよび声<br/>
本願寺新報2002（平成14）年5月20日号掲載<br/>
大阪・西光寺住職　小村　賢昭(こむら　けんしょう)<br/>
同じことを何度も<br/>
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子どもが小学校に入学して間もない頃、「ただいま」と学校から帰ってきて、すぐに「行ってきます」と家を出て行こうとすると、お母さんが、<br/>

「ジュンちゃん、今帰って来たところでしょう。<br/>
どこへ行くの」<br/>

「友達が外で待ってるから」<br/>

「名札をはずして行きなさいよ」<br/>

という、お母さんと子どものやりとりが聞こえてきました。<br/>
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地域の小学校は、学校へ行く時は隣近所五、六人集まって集団登校をしています。<br/>
それぞれ「○年○組」という名札を付けています。<br/>
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ある朝のこと、集合時間はとっくに過ぎているのに、「名札がない」と言って、一生懸命家中を捜し回っています。<br/>
どうも前日、名札をどこに置いたかわからなくなっているようです。<br/>
お母さんが「いつも言っているでしょう、名札をはずしたら、ちゃんと机の上に置きなさいと」と言いました。<br/>
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そのことをお母さんは毎日のように言い聞かせていますが、子どもは「ウン、わかっているよ」と言いながら、親の言う通りにしないものです。<br/>
しかし、一年生の終わり頃には、名札をはずして、ちゃんと自分の机の上に置くようになっています。<br/>
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子どもは何度も何度も同じことを言わないと、なかなか言うことを聞きません。<br/>
何度も何度も言うことによって、子どもはちゃんとするようになるものです。<br/>
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阿弥陀如来も、この私に何度も何度もよびかけて下さっています。<br/>
「仏の教えを聞いてくれよ」「お念仏申す身になってくれよ」と。<br/>
その如来さまのよび声に、いつも私は背中を向けっぱなしです。<br/>
そんな私が、仏さまの教えを聞くようになった、お念仏申すようになった―。<br/>
それは如来さまがこの私に何度も何度もよびかけて下さっているからです。<br/>
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よび続けによんでいる<br/>
親鸞聖人は、ご本典（教行信証）行巻で、南無阿弥陀仏の六字を釈される中、<br/>

<pclass="cap2">ここをもつて帰命（きみょう）は本願招喚（しょうかん）の勅命なり<br/>
（註釈版聖典１７０頁）<br/>

とお示しになり、「招喚」という字に「マネクヨバウ」と左訓されています。<br/>
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「ヨブ」に「ウ」という字を付けると、「よび続けによんでいる」ということになります。<br/>
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如来さまは「お前をたすける親がおるぞ」とたった一回きりよんだんではなくて、よび続けによんで下さっています。<br/>
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それは私が生まれてからこの方、いや私が生まれる前からずっとよび続けて下さっています。<br/>
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「仏さまの教えなんて聞くような私じゃなかった」「お念仏なんかするような私じゃなかった」そんな私が、仏さまの教えを聞くようになった、お念仏するようになった―。<br/>
それは如来さまがこの私に、よび続けによんで下さっているからです。<br/>
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その如来さまがよび続けて下さっているよび声が、南無阿弥陀仏のお念仏です。<br/>
ですからお念仏の一声一声は如来さまが私をよんで下さるみ声でもあります。<br/>
「いつ」「どこで」「だれが」称（とな）えていても「南無阿弥陀仏」の一声一声は如来さまのよび声なのです。<br/>
だから南無阿弥陀仏というのは、これは人間の言葉ではなく如来さまのお言葉、如来さまが私をよんで下さっているお言葉なのです。<br/>
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甲斐和里子さんが、<br/>

<pclass="cap2">み仏を<br/>
よぶわがこゑは<br/>
み仏の<br/>
われをよびます<br/>
み声なりけり<br/>

と歌われています。<br/>
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「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と私が称えるお念仏、それは私が如来さまをよぶ声であるが、しかし、そのよぶ声はそのまんま如来さまが私をよんで下さるよび声でもあると歌われているのです。<br/>
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原口針水和上も、<br/>

<pclass="cap2">われ称え<br/>
われきくなれど<br/>
これはこれ<br/>
つれてゆくぞの<br/>
弥陀の呼び声<br/>

とおっしゃっています。<br/>
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自分で称え自分で聞きながら、その南無阿弥陀仏のお念仏は、そのまんま如来さまが私をよんで下さっているよび声であるといわれるのです。<br/>
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よび声が私にとどき<br/>
先日、六十をいくつか過ぎた方が「ご院さん、私この頃やっと人さまの前でもお念仏が言えるようになりました」とおっしゃっておられました。<br/>
今までは人が周りにいるとなかなかお念仏が言えなかったそうです。<br/>
しかし、この頃おかげさまでようやく人さまの前でも「ナンマンダブツ」とお念仏が言えるようになりましたと言われるのです。<br/>
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なかなか人さまの前ではお念仏が言えないものです。<br/>
しかし、お念仏するようになったのは、自分の力でするようになったのではありません。<br/>
如来さまの「おまえをたすける親がおるぞ」というよび声が私にとどき、そして私を呼びさまし、私を通して南無阿弥陀仏のお念仏となって出て下さるのです。<br/>
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その如来さまのよび声が、欲や腹立ち、愚痴ばかりの煩悩にまみれたこの私の心に響いてくる。<br/>
如来さまのお言葉が私の心に響いてきて、私の心を開いて下さる。<br/>
私に新しい世界を開いて下さる。<br/>
そういうお言葉が「南無阿弥陀仏」のお念仏なのです。<br/>
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